大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)169号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由第一点乃至第六点について。

民訴二二五条に定めた証書の真否確定の訴の目的となり得る証書とは、その証書の記載内容からして一定の法律関係の存否が証明される文書でなければならない。しかるに所論文書は「受取人不在ニ付差出人ニ返戻ス広島県」と記載されている文書に過ぎないことは原判決の確定するところであるから、たとえ、右書面を、それの添付せられてある封筒の記載と綜合しても、所論文書を以て、民訴二二五条にいわゆる「証書」とすることはできない(もとより、所論のように、右封筒内の書翰の内容、若しくは、右信書発送に関する事情等を綜合して右書面が同条の「証書」に該当するや否やを決すべきものではない)。右と同趣旨に出て、かかる書面の真否の確定を求める訴訟は許すべからざるものとした原判決は正当であつて、原判決には所論のような違法はない(所論違憲論-第六点-は、本件訴訟物に関係のないものであつて、特にこの点について判断しなかつた原判決に、所論のような違法ありとすることはできない)。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用して全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例